朱の窓辺にて

 私が聖地にいたころ? ずいぶんと昔のことをご存じですのね。ええ、ええ。このようなお婆さんの昔話ではありますが、あなたのお役に立てるのならばお話しいたしましょう。 あれは、私が十八の春でした。同じく聖地への赴任が決まった…

あえたひに

 駅で出迎えた元同僚の外見は、当然だが全く変わっていなかった。その反面、自分の顔――腹立たしいことに目元や口元辺りを見たリュミエールは、驚いたような表情を浮かべている。 主星の中でも、中心からここは遠い。自然が多く、広大…